天津でよく聞く教育相談

小2・小3、中学受験勉強を始める前に必要な勉強は?

2011年1月20日

Q.ご質問

小3の子供がいて、3年後には中学受験を考えています。来年には本帰国の予定なので、本帰国後はすぐに中学受験塾に通わせようと考えています。ただ、その前、小3のうちに、必要な勉強はあるのでしょうか。

 

A.回答

中学受験の勉強は一般的に小4から始めるのが普通です。しかし、近年、進学塾どうしの集客戦争が過熱し、低学年のうちから塾に引き込もうとした結果、『受験勉強の低学年化』は年々加速しています。日本のお知り合いから話を聞くと、小2・小3から中学受験塾へ通い始めるという方も多いのではないでしょうか?

 

現在(2010年7月)の天津では、小2・小3から中学受験勉強ができる塾はありません。JOBAでも中学受験コースが始まるのは小4からです。では、塾に通わない小2・小3のお子様が、この時期にやっておくべきことは何でしょうか。 それは、『参考書では習えないことを学んでおく』ことです。例として、最近、上位校で実際に出題された問題を見てみましょう。

愛知県内A中[社会]:(世界地図の中から)ロシア国内で紛争が起きているグルジアはどこか。 東京都内K中[社会]:大相撲の外国人力士で、琴欧洲と黒海の出身国はそれぞれどこか。 東京都内M中[理科]:(ピーマンの切り口の絵を見て)その絵が正しいかどうか。 これらは、受験参考書には載っていません。日常生活の中で、まわりのものにいかに興味を持っているかが問われる『新傾向』の問題です。中学校側としては、教科書の勉強しかしていない子供よりも、まわりを見る目を持つ子供が欲しいという出題意図があるのでしょう。近年の入試で少しずつ増えてきている上、これらの対策学習はなかなかできません。 この出題傾向から、私が低学年の保護者の方にお薦めするのが、

 

1) 普段からこどもニュースを見ること・こども新聞を読むこと、

2) 図鑑や地図、歴史漫画を興味を持って読むこと、

3) 地元の科学館や歴史館へ足を運ぶこと です。

 

受験勉強は、膨大な用語の暗記です。実生活で見ているものが少ないお子様にとって、受験勉強は参考書の中だけの勉強になってしまいます。しかし、特に理科・社会等は、私たちの身のまわりにあるものについて学習する科目です。「普段の勉強が実生活で生きている」ことを感じとることが必要です。 また、小4から受験勉強が本格化すると、塾漬けになり、休日は学校見学に時間を費やすことになります。なかなか時間がとれなくなることも考慮に入れておいてください。

特に天津という環境にいるならば、まわりの環境に興味を持つことは難しいものです。長期お休みで一時帰国なさる際には、ただ実家に居たり行楽地に行ったりするのではなく、お子様が周囲に興味を持つためのさまざまな場所へ足を運んでみるのはいかがでしょうか。

 

(フリーペーパー「友」 2010年7月号掲載)

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