Q.ご質問
東京にいる友人の小6のお子さんが、来年2月に中学受験をなさるそうです。今までお受験の勉強などしていなかったのに、これから「公立中高一貫校」の受験勉強を始めると言っています。「お受験の勉強」と聞くと、かなり難しい気がするのですが、そんなに簡単に受験ができるものなのですか。「公立中高一貫校」とは、どんな学校なんですか。
A.回答
最近、JOBAでも多く受ける質問です。
「中高一貫校」とは、中学と高校がくっついている6年制の学校です。以前は、私立中学・高校のことを指すのが一般的でした。私立中学の「お受験」というと、小学4年生頃から塾へ通い始め、つるかめ算などの特殊算や国語の長い文章題など、小学校では習わないような難しい勉強を積んだ上で、やっと合格できるようなものです。現在、首都圏では、6人に1人の小学6年生が、お受験(私立中学受験)をする時代になっています。
しかし、近年話題になっているのは、私立の中高一貫校ではなく、「公立」の中高一貫校です。各県の県立上位高校が、高校だけでなく中学部も新設して6年制の中高一貫校となる形式で、その学校数は全国で少しずつ増えていっています。東京都立高校が2005年度から中高一貫化を始めたことで、中学受験生の話題の中心になりました。では、公立中高一貫校に入るとしたら、どんな利点があるのでしょうか。
1) お金がかからない
一番の魅力は、公立校ですので、私立中学よりも学費が安いということです。単に安いだけでなく、各自治体の教育重点校に指定されている学校が多くあり、教育内容にも定評があります。
2) 過度な受験勉強が必要ない
公立校ですので、入試問題は、6年生までの学習指導要領を逸脱することはできません。難解な勉強を必要とする私立中学の受験勉強とは違い、小学校で習う学習内容のみで解くことが可能です。私立中学受験の場合は4年生から進学塾に通い始めるのが普通ですが、公立中高一貫校の受験の場合は、進学塾に通わなくてもなんとかすることができます。(最近は公立中高一貫校専門の塾ができ始めています。)
ただ、注意も必要です。
1) 高倍率である
受験者数は普通の私立中学よりもかなり多いです。東京では、都立中高一貫校ができてもう5年になりますが、毎年平均8~9倍の高倍率が続いており、人気の高さはしばらく続きそうです。
2) 難しい内容が出題されない分、対策も難しい
受験参考書に出るような内容ではなく、ひらめきを重視する問題や作文が出題されることが多いです。お友だちは突然受験勉強をお始めになるようですが、特に作文は急にうまくなるものではありません。遅くとも5年生のうちからコツコツ練習を始めることをお薦めします。
(フリーペーパー「友」 2009年11月号掲載)