Q.ご質問
現在中2の子供がいます。日本へ帰国しての高校受験を考えていますが、その場合、「公立高校」と「私立高校」はどっちのほうがよいでしょうか。親としては、授業料の安さで、公立高校のほうが魅力的です。しかし、うちの子供は理科・社会が苦手なので、5教科受験の公立高校よりは、3教科受験の私立高校へ行きたがっています。
A.回答
答えは、どちらが良いとも言えません。
1) 公立高校に入った方が本当に安いのか?
ある調査で、東京都立高校と都内私立高校の年間授業料の平均差は、30万円だったと聞いたことがあります。金額だけ聞くと、確かに私立は高く感じられます。ただ、私が以前中3から受け持った2人の生徒を比べてみましょう。きっと考えが変わるはずです。
都立高校に入学したA子さんと私立高校に入学したB子さんがいました。A子さんの保護者の方は、経済的理由であえて実力より低い高校へ入学しました。しかし、入学後、周りがみんな予備校に通い始めたので、追うように大手予備校へ入会することに。現役生に人気の予備校を選んで入会を決めると、年間授業料は、合計約100万円だったそうです。
対するB子さんは、都立高校を落ちて、泣く泣くすべり止めの私立高校に入学しました。私立高校というのは、大学合格実績を出すために必死な学校が増えていますので、最近では、補講・チューター常駐など、学習環境の充実に徹している学校が増えています。B子さんの私立高校では、毎日放課後自習室で、大手予備校の授業を、人工衛星を通じて、無料放送していました。B子さんは予備校に通う必要が一切ありませんでした。
さて、結局、公立のA子さんと私立のB子さん、どちらのほうがお金がかかったでしょうか。学校選びをする際にご注意いただきたいのは、高校案内の「年間授業料」の金額ではなく、入学後、その高校がどこまで大学受験指導を熱心にしてくれるかだと思いますよ。
2) 私立は3教科受験なので、勉強は本当にラクなのか?
ぜひ考えていただきたいのは、受験を終えて入学した後のことです。私立の場合、入試科目として理社はありませんが、高校入学後の授業に理社の科目はきちんとあります。理社の受験勉強をしたかどうかで、クラス分けはされません。目先の受験ではなく、さらに先の入学後を考えて、理社の受験勉強をしておくことは大切です。もちろん、大学受験科目として、理社を利用することになるかもしれないことも念頭においてください。
(ちなみに、首都圏の私立高校入試では3教科受験が主流ですが、他の地域では公立高校も私立高校も5教科受験の都道府県があります。ご注意ください。)
(フリーペーパー「友」 2009年3月号掲載)